実は1200年の歴史を持つ「そうめん」の目からウロコな新しい食べ方
夏の食べ物といえば、ひんやりツルっとしたのどこしの「そうめん」ですが、意外にその歴史についてはご存知ない方も多いのではないでしょうか。先日、雑貨や日用品を提供する中川政七商店(表参道店)で、新商品「そうめんくらべ」のお披露目会が開催され、「そうめん開きの儀」と、そうめん研究家のソーメン二郎さんによるそうめんに関するレクチャーが行われました。1200年のそうめんの歴史から、新しいそうめんの食べた方まで、目からウロコのそうめんの世界を紹介します。
1200年歴史を持つ「そうめん」。平安時代にはセレブの麺だった
まずはじめに、「そうめん開き」ってご存知ですか? 海開きと同じようなコンセプトですが、その年にはじめて食べるそうめんのことを言うそうです。
先日、中川政七商店の新商品「そうめんくらべ」の発表を記念して、「そうめん開きの儀」が執り行われました。これを執り行ったのは、そうめん研究家のソーメン二郎さんと「坂利製麺所」の坂口利勝さんのお二人。日本全国のそうめんの普及に情熱を注がれている方たちです。
そうめん開きの儀が終わったあとは、ソーメン二郎さんによる「そうめんレクチャー」がおこなわれました。
実はそうめんは、1200年という長い歴史を持つ、日本古来より食べられてきた伝統的な食べ物ということ、知ってますか?
遡ること平安時代。当時の宮中の儀式と作法の法典「延喜式」には、七夕にそうめんをお供えすることが記録されています。
そうめんのもととなったのは、中国の「索餅(さくべい)」という唐菓子で、小麦粉と米粉を水で練り、塩を加えて、縄状にしたものです。こちらは貴族が食べる高級なお菓子でした。その後、遣唐使によって、そうめんの発祥の地である奈良県桜井市にこの「索餅」が伝わったと言われています。
「平安時代、そうめんの元となる索餅は、セレブが食べるものだったんです」と話すソーメン二郎さん。祭事や風習が宮中行事などの特別な機会に食べられる存在だったそうです。
江戸時代からは索餅から「そうめん」へと名前も変わり、ブームに。ちなみに、醤油が発明される前は、なんと塩、梅で味付けして食べられていたとか。
ところで、「日本の三大そうめん」と聞いて、どこのそうめんが思い浮かぶでしょうか? 奈良県の「三輪素麺」、兵庫県の「揖保乃糸」、香川県の「小豆島そうめん」の3つが日本を代表するそうめん。
他にも、400年の歴史がある五色そうめん(愛媛)や、成分に油が使われていない白石温麺(宮城)などのそうめんを筆頭に、島原そうめん(長崎)、半田そうめん(徳島)、大門そうめん(富山)、神埼そうめん(佐賀)など、日本全国各地にはそれぞれ特徴と個性があるそうめんが存在します。
今では、お中元のギフトとして贈られるそうめん。「お中元はお世話になった人に感謝の気持ちを伝えるコミュニケーションツールだと思います。これはラーメンではだめなんですよね。1200年愛されてきたそうめんが人と人とを結ぶんです」とソーメン二郎さん。
歴史や産地など、そうめんの世界はなかなか奥深いですよね。
次のページでは、ソーメン二郎さんに教えていただいた「新しいそうめんの食べ方」を紹介します。